作成者別アーカイブ: Hideto Yasuoka

レースとは?

サイド by サイド

これは新シーズンが始まる前の冬の間に書きたかったテーマだったのですが、タイミングを逸してしまっていました。
でも多くの方々がテレビでご覧になったであろう上の画像のシーン、そしてそれに続く青い方のクルマの監督が赤い方のクルマのピットウォールに向かうシーンがテレビで放映された(そして、このタイミングで長い船旅がスケジュールされた)おかげで、改めてこれは書かなければならない!と強く感じました。

ずばりレースとは何なのか?について。
4輪のモータースポーツの2大ジャンルはレースとラリーだと思います。
レースとラリーの最大の違いは走る環境の違いではなく、タイムを競うのか?コース上の順位を競うのか?だと思います。
つまり、ラリーではSSごとのタイムを加算していって合計タイムで順位を争うのに対し、レースでは全車が一斉に走るのでオーバーテイクする/されるという状況があります。
どちらも最終的にはプレッシャーとの戦いであり、モータースポーツはメンタルゲームというところに落ち着くと言えると思います。

このことについて書かないといけないな…と思った発端は草カートレースで何度か“プロ”ドライバーに非常に危険な幅寄せをされたことでした。
レース経験豊富な人ですら、レースをわかっていない。と感じたのです。

ラリーとの違いでもわかるように、レースの最大の魅力はオーバーテイクが可能であるということだと思います。
「抜きつ抜かれつのバトル」こそがやる側も見る側も最大の楽しみであるはず、と私は考えているわけです。
そして、これはモータースポーツの最高峰と言われるF1から誰もが参加可能なレンタルカートレースまで一律に言えることと考えます。
レースでは基本的に予選で決勝のグリッド順を決めるため、タイムの早い人が前方からタイムの遅い人が後方からスタートします。(ジャンケンやくじ引きでグリッドを決める楽しいレースもありますね!)
ただし、予選のタイムの早い/遅いはほとんどが単独走行のときのものなので、グリッドが後方のドライバーは前方のドライバーを“単独走行状態”にさせないことで勝機が出てきます。
レース全体の流れを考えつつ、前のドライバーを“つついて”プレッシャーをかけてミスを誘ったり、レコードラインから外れたラインを走らせたりすることでタイムを遅くさせることができるわけです。
前のクルマは並走されたくなければ、並ばれる前にラインを潰しにいかなくてはならないのですが、大きなタイムロスになりえるので出来るだけラインは変えたくないですね。
そして、クルマが並走している時には、その台数分の車幅を残してあげることでクラッシュを防ぐことができます。
並走状態になったから勝負あり!ということはなく、仮に抜かれる立場で相手にイン側のラインを取られたら、相手が通常と異なるブレーキングポイントでブレーキングしないといけないということを逆手にとって、できるだけ精確にブレーキできないようにプレッシャーをかけたり、外側から立ち上がり重視のラインでコーナーを立ち上がって次のコーナーまでに抜き返すことを狙ったりできます。
このように他のクルマのコース上のポジションによって走行ラインを変える必要があるのがレースであり、その結果常に理想のライン、理想のブレーキングポイント、ターンインポイント、クリッピングポイント、アクセルオンポイントなどが変化するため、完璧な走りをするのが困難なのがレースだと思います。(ラリーは各コーナーのコンディンション、限界値の見極めとそれへの対応が困難なのだと想像します。)

つまり、相手に難しいことをさせるのがレースであって、接触するリスクを負った幅寄せなんてナンセンスだし、接触するリスクのない幅寄せに対して怒るのもナンセンスなのでは?

と思っています。

(…だいぶ昔に書きかけていたコラムを読んでみたら面白かったので、今頃加筆して完成させました、、、)

スーパー フォーミュラ新シーズン開幕に向けて Part 4

実は世界的に、スーパーフォーミュラってスゴイんじゃない?
ってことになっているのですが、その理由がコチラです。

コーナリングスピードがF1のトップクラスの車両と変わらない!!

大きな要因はSUPER GTの500クラスのスピードアップの要因としても知られる、ダウンサイジングターボエンジンです。
要はエンジンを小さくしてターボ化したんですね。

そのおかげでエンジン重量が大幅ダウン!
そして、エンジンカウルの小型化によるダウンフォースアップ!!

ということで、コーナリングで”振り回される”ことになるリアの性能が大幅アップ!!

SFのクルマの動きを見ていると、僕も思わず乗ってみたい!
と思ってしまうほどドライバーが安心して攻めていけるバランスを実現しているんです。

 

そして、もう一つの大きな要因がBRIDGESTONEのタイヤです。
F1のタイヤがBSからピレリに変わって、ドライバーが不満を述べていたのは記憶に新しいかと思います。(?)

F1を撤退したBS社は割と本気でSFをやっているっぽいんですよね。
ラップタイムの伸びを見ているとワンメイクタイヤなのに、開発をしていることがわかるんですね。

ドライバーのコメント見ているとタイヤがしっかりしているおかげで、タイヤをセーブしようとしなくてもいいらしいです。

 

つまり、
SFではドライバーは予選で攻めまくり、決勝でもフィニッシュまで攻めの走りを続けることができる。

それをPart 2で紹介したハイレベルなドライバー達が、それぞれのチームと共に戦うんです!

これは、見ないと損ですよー!

 

▼当日は見所をじっくりと解説!
現地に行かない人は一緒にみんびゅー♪
みんびゅー20150419

スーパー フォーミュラ新シーズン開幕に向けて Part 3

SFTeam                                                                                                       Picture from ms.toyota.co.jp

フォーミュラカーレースの最高峰はF1ですね。
そしてF1は日本で人気がありますので、レースがチーム順に終わる、予選が終わると綺麗にチームの2台がグリッドの同じ列に並んでいるという光景を見たことがあると思います。

そうなんです。
フォーミュラカーというのはクルマの出来/不出来が
結果にダイレクトに反映されやすいのです。

なぜか?

前後に大きなウィングを備えたフォーミュラカーは空力を利用して走っているので、小さな差を積み重ねていくことでラップタイムを削っていくのです。

…と言われても、まだわかりづらいかもしれません。
空力を利用して走るということを少し噛み砕くと、
空気の流れの使い方によってグリップレベルが変化するということです。

空力性能を最大化するためには、
クルマの姿勢は一定にするのがベスト。

しかし、それではタイヤのグリップをうまく使えない。

メカニカルグリップを最大化しようと思うと
サスペンションはなるべくたくさん動かして、
タイヤがたくさん地面に接地するようにしてあげたい。

という相反する課題に対して

クルマの状態を”いい具合”でバランスさせなきゃいけない。

ということになります。

この”いい具合”というのが、絶妙なワケです。
そして、フォーミュラカーのレースの予選結果は1000分の1秒を争うことになることも珍しくありません。
その結果チーム毎に順位が並んでしまうのです。

そして、周回を重ねるレースになるとよりクルマの差が顕著になるのです。

チーム力というのは簡単ですが、一つ一つのパーツの性能の最大化、そしてそれを引き出してあげることがクルマ作り。

路面のコンディションを読んで各セッションのセッティングを決めるドライバー×エンジニアの経験×データ×勘。

さらに、目に見える部分では、ピット作業、レース戦略がありますね。

これらがすべてハイレベルでバランスされているのが、過去にチャンピオンになってきたチームなのです。

 

▼当日は見所をじっくりと解説!
現地に行かない人は一緒に観ようよ♪
みんびゅー20150419

スーパー フォーミュラ新シーズン開幕に向けて Part 2

SF-Driver                                                                                         Picture from SUPERFORMULA.NET

前回はザックリとSUPER FORMULAのご紹介をさせていただきました。
ネタはたくさんあるのですが、何しろもう今週末には開幕ですので、
一番強調したい部分を今回書いてしまいます!

ズバリ。
ドライバーのレベルの高さ!です。

ここではジャーナリスト≒批評家ですから、本音で書いてしまいますが。

この中で戦うのは大変だろうな…と思ってしまうような面々が揃っています。

ズバリ、チャンピオンになっても不思議じゃないドライバーを挙げていきましょう。

まずは、チャンピオン経験者の4人ですね。
中嶋 一貴選手
山本 尚貴選手
アンドレ ロッテラー選手
JP デ オリヴェイラ選手

次にチャンピオンになっていなかったっけ!?
という感じすらする優勝経験のある4人。
塚越 広大選手
伊沢 拓也選手
小暮 卓史選手
野尻 智紀選手

次に今年初優勝するかな?
というSFでの実績のある4人。
ジェームス ロシター選手
平川 亮選手
石浦 宏明選手
国本 雄資選手

そして今年レギュラーとしてデビューする実績十分の3人。
小林 可夢偉選手
アンドレア カルダレッリ選手
ベルトラン バゲット選手

F1直下のGP2シリーズのチャンピオン経験者のファビオ ライマー選手のエントリーがキャンセルされ、ロイック デュバル選手が去った今シーズンですが、なんと
19人中15人が安岡的に要注意なドライバーなんです。

そしてここで漏れた4人についてもゼッケン順に見ていきましょう。
今年デビューするウィリアム ブラー選手
彼は恐らく1年間、SFの勉強をする年になるでしょう。

中山雄一選手については、実力をメキメキつけてきているのは間違いないのですが、やはり1台体制ではツライというのが僕の見方です。

ナレイン カーティケヤン選手はSF2年目の元F1ドライバー、マカオウィナーですが、(優勝したのはコリアSPでした)シーズン中の好不調の波が激しいのでチャンピオンは厳しいかな?と。

そして、中嶋 大祐選手は、覚醒が待たれます。
これだけチャンスを与えられる選手もいないと思うので、何か光るものがあるのでしょう。

 

ドライバーだけを見ると15人にチャンピオンの可能性があると言えるのですが、彼らは10のチームに別れて戦います。
”チーム力”の差がありますので、実際にチャンピオンを争うのは
チャンピオン経験者の4人+流れに乗った他2人
という感じだと思います。

こんな感じでSFのドライバーライナップの強力さがお分かりいただけましたでしょうか?

 

▼都内ではみんなでパブリックビューイング!
『みんびゅー』で安岡ジャーナリストの解説を聴きながら観戦しよう♪

みんびゅー20150419

 

2015/4/15…一部追記/訂正致しました。

スーパー フォーミュラ新シーズン開幕に向けて

Kamui SFPicture from SUPERFORMULA.NET

 

かなりお久しぶりの登場のモタスポジャーナリストの安岡です!
明けましておめでとうございます!(笑)

ハイ!
ということで、国内のモータースポーツも2015シーズンに突入ですね。
今週末は”ドライバー”安岡が参戦するSUPER GTが開幕しますし、中1週でフォーミュラカーの国内最高峰であるSUPER FORMULAも開幕します。

モタスポ部では鈴鹿サーキットで開催される開幕戦をパブリックビューイングイベント『みんびゅー』で初めてSFのレースを取り上げます!

まず、SFって何なの!?って話ですよね?
早い話、F1以外でサーキットを走らせたら一番速いクルマです。
そんなクルマを使ったレースなので、当然F1ドライバーへの道を突き進むドライバーであったり、元々F1に乗っていたドライバーであったりが参戦しています。
そして、その足元を支えているのも数年前までF1に参戦していたBRIDGESTONEタイヤですし、参戦チームも国際レースへの参戦経験があるような国内トップチームが中心です。

つまり、超ハイレベルなレースが見られることが約束されているようなものなのです。

色々な見方はあると思いますが、レースの本質が見られるのがフォーミュラカーのレースなのです。
だからこそ、F1が世界最高峰のレースと考えられているのであり、SFも見逃すわけにはいかないのです。

みんびゅーの副産物

                                        picture from Formula1.com

picture from Formula1.com

F1の解説やりまーす♪
って気軽にやっているようでも、やっぱり集まってくれるファンの方々に少しでも楽しんでもらいたいと思ってやっています。

そこで、今回はF1を真剣に見ました。
フリー走行から。(笑)
その結果、#みんびゅー にお越しいただいたモタスポファンのみなさんと楽しい時間が過ごせました!

レース結果はコチラ→http://www.formula1.com/results/season/2014/917/

gppredictor.com

gppredictor.com

そして、思わぬ(?)副産物がこちらです。
僕が大好きなオンラインのF1予想ゲームです。

3、4年前にスタートした当初は相当な熱の入れようで、毎週のように真剣に予想していたのですが、レースが重なったりして予想できなかったときにポイントを落としてしまったり、だんだん賞品が魅力的でなくなっていったりで、最近はあまり真剣にやっていなかったのです。

…で、今回は。
パッと見れば、わかるようにレースをほぼ読みきりました。(笑)

#22 J.バトンについては多少なりとも天候が不安定になることを予想して入れたのですが、ダメでした。
そして、好調をキープしているTORO ROSSOでは#25 JEVよりも驚異の新人である#26 D.クビアト選手が上に来ましたね。
ファステストラップについては、独走で優勝した#44 L.ハミルトンが最後に1ラップだけプッシュしてくるかな?とも思っていたのですが、#1 S.ベッテルのようなプッシュはしませんでした。
きっと何がなんでもタイトルを取りたいのだと思います。

で、この結果何が言えるのか?
レースはサーキットに来るまでが勝負である。ということです。

僕の予想は金曜日の練習走行を分析して行ったものだったのですが、サーキットに来てから行えるセットアップは僅かなので、金曜日に走り始めて狙っている順位のタイムが出ないと、相当厳しい戦いになるのです。
今回の中国GPをもって開幕から続いた“遠征レース”が終わり、メインシリーズとも言えるヨーロッパでの戦いが始まります。
各チームともにバルセロナがアップデートプログラムの一つの節目になっているはずですので、金曜日の走行開始から1時間後のタイムに注目してみてください!

考えるだけで、もう待ちきれませんね!!(笑)

次回のみんびゅーもお楽しみに~♪

明日はみんびゅー@F1中国GP

F1 China QFpicture from Formula1.com

F1も開幕から早1ヶ月。
今週末、上海で行われているレースは第4戦。
そしてそれと同時に所謂「フライアウェイ」レースの最終戦でもあります。

今までの流れであれば、本格的にマシンのアップデートが行われるのはヨーロッパラウンドの開幕戦であるバルセロナでしたが、バーレーンのレース後にテストDayが設けられていたこともあり、また今年は各チームのクルマ作りがどこも遅れていたこともあってか、今回のレースではほとんどのチームが過去3レースと比べると多くのアップデートを施してきたようです。
ということは、今後のシーズンを占う意味でも重要なレースとなるはずだったのですが、今週末の上海は前例がないような気温の低さになっているので、やっぱりバルセロナを見ないと…という感じはします。
とは言え、ダウンフォースがモノをいうサーキットですので、やはり「いいクルマ」が前に行くサーキットであることは間違いないです。
結果はコチラ→ http://www.formula1.com/results/season/2014/917/

そういう意味で今回注目なのが、今季初めてQ3に進出した#8 R.グロージャンくんです。
彼は去年、完全に“覚醒”したのを確認済みだったのですが、冬のテストでまともに走れず…開幕戦もまともに走れず…という悪い流れの中で、彼の弱さと言われるメンタル面の未熟さが顔を覗かせているような場面も見られました。
でも、そんな中でも粘り強く走行を重ね(チームメートと大違い、。)LOTUSチームの強力な開発力とルノーのパワーユニット(以下PU)の戦闘力向上もあって、クルマは徐々に戦えるようになってきました。
明日の目標は今季のポイント口座を開設(英国では左記のように表現します。)することだと思いますが、できれば7位、8位ぐらいに入って、ヨーロッパラウンドでの巻き返しを期待したいところです。(#8のエンジニアは我らが日本の小松さんです!)

R. Grosjean

R. Grosjean                                                                                             picture from Formula1.com

そして、逆にガッカリというか、現実を見てしまったのは#10 可夢偉くんですよね。
第2戦では上記のグロージャンくんとコース上でバトっていたのですが、、、あちらはQ3進出、こちらは奮闘むなしくQ1敗退です。
そう、チームの開発力の差がはっきりと出たと思います。
使用しているPUは同じルノーのものですから、そちらの進歩の度合は同程度と考えて良いと思います。(実際はかなりコンサバなレイアウトを採用したといわれるCATERHAMチームの方がPUのアップデートの恩恵は小さい可能性が高いです。)
去年、もう少しでコンストラクターズ ランキング2位だったチームと最下位だったチームを比較してはいけないのですが、、、やっぱり悔しいですね。

そして、予選で最も印象的だったシーンは、車検場で重量を測定する場面でタイミングモニターを見つめた#1 S.ベッテルの表情でした。
なんと、今回の負けでチームメートの#3 D.リカルドに対して、予選の成績が1勝3敗となりました。
予選で無類の強さを誇り現役では最多のPPを獲得している彼ですが、今回はチームメートにコンマ5秒も離されてしまいました。
それを目の当たりにした彼の表情が強く印象に残りました。
…彼はそんなことで心が乱れてしまうような4年連続チャンピオンではないと思いますので、どんなレース見せてくれるのか。特に、チャンピオンシップで先頭を走る#6 N.ロスベルグが隣からスタートするだけに、注目です。

レースは3ストッパーのMERCEDES VS 2ストッパーのREDBULLの戦いになると思います。
そして、金曜日に好調だったFERRARIの#14 F.アロンソがどこまで食い下がれるのか。はたまた他のメルセデスのPUを随するチームに追い上げられてしまうのか!?

とーっても楽しみです!!