モタスポ部への想い

3月初めの比較的暖かい日曜日、私はお客さまと商談していました。
そのお客さまは、高校を卒業した息子さんのクルマを探すために来店されています。

お父さん
「おい正也、なにか乗りたいクルマはないのか?」

正也くん
「うーん・・・なんでもいい」

お母さん
「今月末からあなたは自分で会社に通わなきゃならないのよ、もう決めないと間に合わないでしょう」

正也くん
「・・・」

お母さん
「好きな色とかないの?」

正也くん
「・・・黒かな?」

正也くんは、つい先日高校を卒業しました。4月からは地元の大きな工場へ就職が決まっています。地元で働く子たちは、自分が動く(通勤する)ために必ずクルマが必要になるので、ほぼ100%免許を取りクルマを購入します。公共交通がほとんどない地方では、当たり前の風景です。
正也くんも例外ではなく、新入社員として研修が始まる3週間後には、通勤するためのクルマが手元になくてはなりません。

お父さん
「軽自動車でいいのか?それともその上にするのか?」

正也くん
「安いほうでいいよ・・・」

結局、丸いクルマが好きか、四角いクルマが好きかを聞いて、その要望に合ったボディの軽自動車を提案して、購入するクルマが決まりました。
正也くんは、何とか初出勤に間に合い、無事に会社へ通い始めることが出来ました。

この例はかなり極端ですが、私は地方(茨城県)で中古車販売をやっていて、これに似た経験をここ数年はたくさんしています。
ユーザーさんと直接話す機会がある私たちだからこそ分かる、若者のクルマ離れは想像以上に進んでいることに、危機感を隠せません。

それでも数年前までは、ミニバンにエアロやローダウンして飾るドレスアップする人たちはそれなりにいました。オデッセイやステップワゴンを派手に飾って、クルマを楽しむ人たちです。
ノーマルでは80万円の乗り出し価格に、同じくらいかけてエアロ・大口径ホイール・高級ナビゲーションを入れると乗り出し価格は【倍】になります。
これはこれでクルマを楽しむという一つのスタイルなので、お財布と相談して大丈夫ならいいことだと思っていました。

悲しいのは、モータースポーツに興味を持っている若い人と出会わなくなったこと。

『高校卒業したらこんなスポーツカーに乗りたい!親を騙してでも速いクルマを買うんだ』

などと考えている子は全く見なくなって、何年も経ちます。
高度成長期の時代に生きてきた私たちは、中学・高校生の時にはスーパーカーなどにあこがれ、免許を取ったら速いクルマに乗ることを考え、ワクワクしていたものです。

ここ10年近くこんな悲しい思いをしながら、年度末を迎えていました。

そうは言っても数年に一回出会う、ごく少数派のクルマに興味を持っている若者もいます。彼らは就職した後、同じ職場のかなり年上の先輩から、スポーツカーの楽しさを教わったようです。

フェアレディZ ・ RX-7 ・ ランエボ ・ インプレッサ ・・・

とても官能的な、スポーツカーの魅力が分かりやすいクルマたち。素晴らしいパフォーマンスで、乗った人はみんな魅了されます。

そういうチャンスに逢うと、20才を過ぎて数年しかたっていない若い子だってその官能的な速さに酔い、【よし、おれもエボを買うぞ!】と一大決心をします。
それなりの会社に勤めていれば、極端な話すぐにローンを組んでエボを買うことも不可能ではありません。

が・・・そんな若い子が待っている悲劇は納車前日から訪れます。

翌日納車なので、保険屋さんに車両入替の手続きをした瞬間、恐ろしい追加保険料の請求が来ます。それはただの始まり、ひと月もすれば毎日の生活に支障が出始めます。

それは燃料費。

通勤だけではなく、どんどんドライブに行きたい年頃、毎週末出かけていると恐ろしい金額のガソリン代がのしかかってきます。
1年もすれば、【もう持ってられない】と、ヴィッツやフィットに乗り替えるということになるのです。

モタスポ部を始めるにあたって、実際に20才ではいくら給料をもらっているか聞いてみました。驚くことに地方で大きな会社に勤めている子でも、手取りが15万円に届く月がありません。
つまり、モータースポーツなんて出来る環境ではないわけです。

その事実を知った時、私はとても悲しくなりました。
思えば平成15年くらいから、若者が買えるコンパクトスポーツは激減しました。

シビック ・ インテグラ ・ シルビア ・ MR2 ・ レビン/トレノ ・ ミラージュ・・・

若者が200万円以内で乗り出せる新車はまったく無し・・・
もう、若い子がモータースポーツを楽しむ環境はないのか・・・?

・・・・・・

いや、例えノーマルのヴィッツでも、アクセル全開の気持ちよさは感じるはず・・・
JAFの本格的な競技に出なくても、きっとモータースポーツは楽しめる。

そんな想いを胸に秘めながら、2005年から自分の店を主催にして小さなサーキットを借り切り、何も制限を加えないで安全にアクセル全開を経験できる場を提供してきました。

何か、もう少しやれないかと思っていた2013年初め、ある友人を介して素晴らしい方と出会うことが出来ました。
それが、現在パートナーのスーパーGTドライバーの安岡秀徒選手です。
安岡選手があるカートコースで練習しているという情報をもらい、そこへ行って安岡選手を捕まえ、おこがましくも実感している(上に書いた)現実を アツク語ってしまいました。

普通は・・・まあ 【がんばってください~】で、おしまいですよね。

驚いたことに話を聞いてもらえました。さすが自称、『スーパーGTイチの庶民派ドライバー』と名乗るだけあります。

そして私の想いは共感してもらえました。それは、もちろんウソでも虚構でもなく、安岡選手も実感していたからだと思います。
若い人が思いっきりアクセルを踏んで快感を味わえる環境、クルマと一体になれるサイコーな気分!そして長くモータースポーツを楽しむ環境の整備・・・安岡選手となら作っていけると強く実感しました。

かくして、スーパーGTドライバーと、茨城県で若者にモータースポーツを復活させたいただの中古車屋がコラボレーションした訳です・

秋田の想いは安岡選手の想い・・・さらには『モタスポ部』の想い。

そんなモタスポ部の【想い】を感じていただき、多くの方に広まれば最高にうれしいです。

安岡秀徒と秋田幸男が本気で取り組む『モタスポ部』、あなたも参加してみませんか?
無料部員はすぐに登録できます。

あなたのご参加を、心待ちにしてお待ちしております!

モタスポ部     秋田幸男

 

registerhere3

registerhere3